iPhoneについていろいろ書こうと思っていたが、いろいろと忙しくて書き損なってしまった。あまり焦らずゆっくりと書いて行こう。
前回は購入のことを書いたので、今回はその後のアクティベーションから。前回書いたが、iPhoneを購入した際、AT&Tの店でその場でアクティベーションすることはもちろん可能だ。AT&Tの店というのは、昔はAT&T Wirelessという携帯電話屋だったのだが、Cingular Wirelessに吸収合併されてCingularの店になっていた。ところが、Cingularの親会社のSBCがAT&T Wirelessの親会社のAT&Tを吸収合併して、社名をAT&Tにしたため、その携帯電話子会社も結局は元のAT&Tという名前に戻った。元々はSBC自体がAT&Tから派生した会社だったのだが、子が親を飲み込むという形で結局は元の会社になったという複雑なストーリーだ。
iPhoneの中にはSIMカードが入っていて携帯電話の形にはなっているのだが、このSIMカードの番号を、AT&Tのネットワークに登録しなければ、携帯電話として使うことができない。これを行う作業がアクティベーションだ。
Appleショップで買ったり、AT&Tで購入してもアクティベーションせずに持って帰るとどうなるか?iPhoneは初期画面(地球の画面)が出て、ロックを解除すると緊急の電話だけがかけられるモードになる。結局911というアメリカ版の110番(+119もこれ)にしかかけられない電話機でしかない。Google MapとかYouTubeとか電話機ではなくWi-Fiでインターネット接続すれば使えるはずのアプリケーションも、アクティベーションがないと使えないのだ。だから、iPhoneをアメリカ土産として日本に持って行っても無駄なのだ。
iTunesを最新版(iPhoneが発売された6月29日にリリースされた)にアップデートして、iPhoneをPC(またはMac)につなぐと、アクティベーションが始まる。AppleがAT&Tの代理で契約しますという形で進む。契約プランが表示されて選ぶ形になる。新規だといろいろと出ているが、自分は以前からAT&Tのユーザ(で、しかも前の携帯電話はスピーカーが壊れて苦労していた)だったので、現在の電話番号を継続するオプションを選択。すると3分ほどかかって、AT&Tのデータベースが更新されたようだ。昔の携帯電話の表示がUnregistered SIM(登録されていないSIM)に代わり、iPhoneは画面に表示されるスライダーを右に動かすと、メニュー画面が現れてめでたく電話機として使えるようになる。
ここで問題。私の携帯電話の番号は、AT&Tのデータベースの中で、旧電話機のSIMカードから、新しいiPhoneに内蔵されたSIMカードに登録変更された。しかし、このアクティベートせずにSIMカードを入れ替えれば、iPhoneを電話機として登録できたはずである。しかし、そうなるとプランはどうなるのやら。古い電話機で登録した私の電話帳は結局iPhoneに移動する手段が思いつかず、結局すべて打ち直した。
もう一つの問題は、iPhoneは新しく魅力的な携帯電話であることは間違いないのだが、iPhoneの魅力は実は電話機以外の部分にある。トップのメニュー画面に登録されているGoogle Map、YouTube、Safari、メールなどのアプリケーションはインターネットを使うのだが、これらはすべてWi-Fiで利用できる。日本ほど高速デジタルネットとしての3Gが進んでいないアメリカだが、(特にシリコンバレーでは)町全体で無料のワイヤレスネットワークを提供していたりするため、Wi-Fiを使えばネットワークにつなげることができる。現在出たばかりのiPhoneなので、友人が皆見たがるが、彼らが見て喜ぶのは携帯電話機ではなく、これらWi-Fiでインターネット接続されたPDAとしてのものなのである。
電話機として使えるのは、Steve JobsがMac WorldでiPhoneを発表したときにやっていたデモのような場面である。例えばWi-Fiでインターネットにつなげた状態で、Google Mapを見る。自分がいる場所を入力し、近所にあるStarbucksを探す。いくつか候補が出てその中から1つ選ぶと、電話番号がリンクで表示される。そのリンクをクリックするとAT&Tのネットワークを使って電話をかけることができる。要は、電話は主ではなく、Appleが提供するインターネットサービスの中の一つでしかないのである。
アクティベーションしなければアプリケーションが使えないという仕組みは、AT&Tの顧客にしかiPhoneが使えなくするというものだが、iPhoneのサービスの主導権はAppleの方にある。この辺は日本のNTTドコモやau、ソフトバンクモバイルといった携帯網会社とPanasonicやNECといった携帯電話機のメーカーの関係とは明らかに違う。アメリカでのiPhoneの人気の高さに、日本の携帯電話会社がAppleに日本での発売を依頼しているようだ。しかし、GSMとPDCの違い以上に、この電話会社とメーカーの関係という文化的な違いの方が大きいのではないか?
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