今回温泉を琴平に選んだのは、香川県でさぬきうどんを食べるのが目的であった。
アメリカで「麺通団のうどラジ」のポッドキャストを聞いている。この番組はFM香川というローカルラジオ局で放送しているもので、香川県の中のうどん屋の話題が中心である。どこのうどん屋のメニューがどうしたとか、店主やその奥さんの話題など、県外の人にはどうでもいいピンポイントな話題ばかりである。
ところが、田尾和俊さん(麺通団団長)の語り口が面白く、つい聞いてしまう。そしてアメリカにいながら、香川県のうどん屋情報に詳しくなってしまったのである。
ということで、この日は県内のうどん屋をハシゴすることにした。ところが問題があって、うどん屋の多くは便利が悪く、駅から歩いて行ける距離にない。田尾団長が書いた「超麺通団3、4」にもレンタカーを使って巡ることが推奨されているのだ。ところが、今回国際免許の手続きをしていなかったので、レンタカーを使うことができない。
まずホテルで「うどんマップ」というものをもらった。高松から琴平にかけてのうどん屋110軒が並んでいる。その中で、なかむら、山越、山下の3軒には印が付けられていて、推奨されている。ところが3軒とも駅から歩いて行けるところにない。そこで、この中で山越だけタクシーを使って行き、後は駅から歩けるところに行くことにした。
まずは琴平から琴電で岡田駅に向かう。岡田駅はほぼ無人駅。このそばにレオマワールドという遊園地があるそうだが、その路線バスもなくなっており、「レオマワールドにはタクシーで来てくれ」という張り紙がある。そのタクシー会社に電話して、とにかくピックアップに来てもらった。道中ドライバーと話をして、山越で食べている間、近くで待ってもらうことにした。
山越は行列ができる人気店だが、開店直後の9時半頃に行ったので、行列はなし。
この山越は釜玉(釜揚げうどんに卵をからめたもの)の発祥の地とされる。当然ながらその釜玉の小を食す。小を頼むのは、このあと何軒か行く予定だからである。
その後また同じタクシーで琴電の滝宮駅まで行ってもらい、仏生山駅そばの宮武に行き、かけ小をいただく。
この「手打ちうどん宮武」はホテルでもらったうどんマップに載っていたのだが、どうも最近復活してうどラジで話題になっていた「手打ち宮武うどん」とは別の店のようだ。
この後も何軒か回るつもりだったのだが、先週の飲み会以来体調がよろしくない。あまりたくさん食べることができなくなってしまった。そこでとりあえず琴電で高松築港まで行き、そこで一休み。香川の県庁所在地の高松は大きな町だが、巨大なホテルやオフィスビルが立ち並ぶ無機質な都市であった。観光をしようという欲にはかられない。
最後はJRで宇多津駅に移動し、そこからちょっとあるいて「おか泉」へ。山越や宮武はセルフサービスだったが、おか泉はレストランタイプの一般店で、席に座ると注文を取りにきて運んでくれるという店。入った時は行列がなかったのだが、席に座って外を見たら、15人くらいの行列ができた。団体で来たのか?
ここでは名物の「ひや天おろし」を食べる。エビの天ぷらと大根おろしが乗った麺に、冷たいだし汁をかけて食べるので、ひや天おろし。店のおすすめだけあって、絶品だ。冷たいだし汁と麺のマッチングが美味しい。天ぷらがちょっと暖かいので、ときどき食べるとアクセントになる。
ホテルの朝食も少し食べていたので、この3軒でギブアップ。体調がよければあと2軒くらいは行けたかも知れない。
まず感じることは、「さぬきうどん」は東京や大阪でたべる「うどん」とは別物であるということ。とにかく歯ごたえが強い。山越の釜玉は釜あげと言って、茹でたあと水で締めない麺なのでそれほど感じなかった。しかし宮武とおか泉の麺は水で締めてるのでかなり歯ごたえを感じる。
田尾団長は著書やラジオの中で「腰のある伸びる麺」と表現するのだが、まさにそんな感じ。あと、「エッジが立ってる」という言い方もするが、これは麺の四角さを、口で感じることができるという意味。これは麺が固くて、茹でても煮くずれしないということなのだろう。
なかなかいい体験をしました。また機会があったら行きたい。
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