Silicon Valleyでもっとも面白いイベントって何だろう?人によっていろいろ意見はあるだろうが、私は文句なくこのVintage Computer Festival (あえて訳すと「骨董コンピュータの祭典」となるか?略してVCF)を選ぶ。コレクター(マニア)が集めている古いコンピュータ(昔のPC、ゲーム機、電卓など)を持ち寄って自慢するというイベントである。
例年10月の第一土日に行われるのだが、今年は1月遅れで11月の5、6の開催となった。今年は第8回で、VCF8.0と表記される。場所はいつもの通りComputer History Museum である(上の写真)。これはMountain Viewの高速101の脇にあるもので、昔Silicon Graphicsがあったビルを博物館にしたところだ。
土曜日(5日)の11時過ぎに到着したのだが、展示は2時から始まるのだと言う。そういえば駐車場から箱を運んでいる人がいたが、要するにまだ展示の品を運んでいる最中ということなのだろう。そこでこの日は講演に出てみることにした。VCFでは展示の他に講演、Computer History Museumのツアー、PDP-1のデモなどいくつかイベントが用意されている。12時からSellam Ismailの講演があるというので、それに出ることにした。
彼はいわばこのVintage Computer Festivalの主催者である。2年前にこのVCFのことを調べた時に、彼の名前も知った。古いコンピュータのコレクターで、VintageTech という会社をやっていることは知っていた。
座席は3分の2くらいが埋まったところで、時間となった。しかしまだSellamが来てないという。係員が「ちょっと開始が遅れます」というアナウンスをした。その後、テーブルと椅子が運んで来られて演台が作られた。そして椅子を持ってきた男が、そこに座り、「じゃ、始めよう」といって講演が始まった。「フォーマルなスピーチは好きじゃないんだ。何か質問はある?」と聞くと、笑いが起こる。ある人が「まず、お前は誰だ?」と聞くと、「私がSellam Ismailだ」と答えた。すなわちテーブルと椅子を運んで来た人が講演するSellam Ismailその人であったのだ。
メモを持っていなかったので、詳しく記録できなかったが、記憶したところでは以下のような話をした。
- 学校(高校か?)の授業で初めてコンピュータを触って、プログラミングに夢中になった。
- もともとコレクションが好きだったので、古くなって使われなくなったコンピュータを集めるようになった。
- 古いコンピュータを買うのは400ドルくらいを目処に決めている。何千ドルもするものは買わない。
- Livermoreに倉庫(Warehouse)を持っていて、現在2000台のコレクションがある。
- メーリングリストで同好の人(つまり古いコンピュータのコレクター)と連絡を取るようになった。
- そこからイベントを開こうということになり、Vintage Computer Festivalを開催した。これが8年前の1997年。9.11テロの年は中止したので、今年が8回目となる。
- Vintage Comuter Festivalはここシリコンバレーが本拠地だが、他でも引き合いがあり、まず東海岸(VCF East)で始まり、今年は中西部でも行われた。
- VCF Europeは東海岸よりも古く2000年から始まった。これはドイツで行われたのだが、昨年はイタリアでもVCF Italiaが開かれた。日本でもやりたいと思っている。
Ismailは非常に気さくな人物で、インフォーマルながらしっかりと話を進めていった。聴衆のうちの半分くらいは顔見知りなのか、しきりに突っ込みが入ったり笑いが起きたりして盛り上がった。
ちなみに彼が写真で着ている黒いTシャツには nerd と書いてある。これは「オタク」という意味で、VCFの受付ではこのnerdとgeek(これも「技術ばかりに目が行って社交が下手な人」を意味する)という2つのTシャツが売られていた。
IsmailとおそろいのTシャツ買ってしまった。
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