Telecommutingの話を3回書いてきたが、今日は提言を。
日本でもこのTelecommuting(在宅勤務)を推進してみたらどうか?ハードルは高いのだが、効果はかなり期待できるはずである。
まずこのような勤務体系を導入するのに最大の障壁となるのは、日本の仕事文化である。和を尊ぶ日本社会では、個人の功績よりも組織・グループの団結が優先される。そのためには毎日会社で顔をつき合わせて、一緒に残業。たまに一緒に飲みに行くというのが日本の環境である。
ここに在宅勤務を導入するとどうなるか?在宅で働く人の仕事パートがまず明確に定義されなければならない。なぜなら仕事をする人が離れているので、皆で助け合うというより、仕事を分担してそれぞれが働くようになるからである。自宅でどれだで時間をかけようが、自分のパートを期日までに仕上げることが重要になる。残業代などはなくなるので、別の評価基準が必要になるが、「どれだけの仕事をやったらこれだけ給料がもらえる」という契約が上司と部下の間にできる。グループのリーダーはそれを踏まえて仕事を振り分け、管理しなければならない。「この方が自分の仕事がはっきりしてよい」というのなら、Telecommutingは問題ない。しかし「お互いの顔を見ていないと不安だ」と思うようになると、いろいろ難癖がついてTelecommutingは減速してしまう。アメリカの研究所という特殊なところにいると、確かにそのような仕事管理をしている。ただ、これを日本で導入するのには相当な抵抗があることは予想できる。
一方Telecommutingを導入するための理由と設備環境はどうかというと、どちらも十分すぎるほど揃っている。まず設備のことを言うと、今や日本は通信インフラではアメリカをはるかに凌駕する大先進国である。一般家庭に100Mbpsという高速光通信網が来ていて、それが1万円以下で使えるなどとは、アメリカでは考えられない。企業の側もインターネットに接続されているので、後はVPNなどセキュリティ面の設定をすれば、各家庭から光接続で会社のコンピュータ環境を使うことは可能だ。
理由としては、通勤地獄の緩和、資源の節約などいくらでも上げられる。日本ではアメリカのように「仕事は続けながらも、田舎に暮らしたい」というわがままなことを言う人は少ないだろうが、かといって会社のすぐそばにいい環境の家を構えることは不可能に近い。車で通勤する人はほとんどないので、電車で通勤する。これが同じ時間に同じ場所を目指して通勤してくるので電車は大混雑。ダイヤは過密で事故を起こしてまでいるくらいだ。家でも仕事ができるのなら、わざわざ電車に乗って何時間もかけて会社に行く必要はない。
環境面でもそうだ。クールビズなんてものも、みんなが会社や役所に出勤してくることを前提にした発想だが、もし本当に資源を減らしたいのであればIT技術を利用して人の移動がすくなくなるように考えてはどうか?日本の社会に導入するのは大変なことは承知しているが、環境省や役所が進めたらみんな右に倣えするのも日本の社会だ。環境省は、クールビズのファッションショーなんか開催するよりも、もっと本質的な省エネルギーを考えてもらいたいものだ。
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