Election 2006。11月7日に選挙がある。私はこの前日に日本に発ってしまうので、この選挙の様子は生で見ることはできない。
アメリカの選挙は基本的に夏のオリンピックの年(2000、2004・・・)に行われる大統領選挙と、冬のオリンピックのある年(2002、2006・・・)にある中間選挙が柱になっている。日本と違って候補者が街頭で演説したり、選挙カーで名前を連呼して走り回るようなことは一切ない。日本のようなポスターを張り出す場所もない。ポスターはあるのだが、「サインボード」という厚紙になっていて、候補者の名前だけが書かれている(顔写真はたまにある)。新聞とかテレビのニュースを見ていないと、選挙があることを知らずに終わることもあるかもしれない。
他にも日本との違いはいろいろあるのだが、
- 市民権(アメリカ国籍)を持っていれば選挙権があるのだが、選挙に行くには登録をしなければならない。日本のようにはがきが送られてくるわけではないのだ。先日会社の人事が、全社員向けに「登録していない人は早めに済ませましょう」というメールが送られてきた。
- 選挙は必ず火曜日にある。もちろん会社では仕事がある。研究所などはわりと時間管理がゆるいので、皆朝投票してから出勤してくる。ただ、日本の「不在者投票」のようなものもかなり行われていて、事前に済ませる人も多いようだ。そもそもなぜ火曜日にあるのかということを同僚に聞いてみたことがある。答は「宗教」。「ある人は日曜日に働くのは良くないといい、ある人は土曜日が駄目、そうやって皆の都合のよい日を決めると火曜日になってしまう」とのことだった。
- 他の投票もまとめて行う。大統領選挙や上議院議員選挙になると投票率が上がるので、一緒に州知事の選挙やら市議会議員の選挙、さらには州議会で提案されている法案への住民投票など、ここぞとばかりにまとめて行われる。
問題は3である。このおかげで1人で20個も投票をしなければならないことがあるそうだ。2000年に、George BushとAl Goreが争って投票をリカウント(再集計)する騒ぎになったときに、地域によって大統領選挙用の投票用紙が違うことが報道された。これは大統領選挙にあわせて、いろいろな投票を相乗りさせて、1つの投票用紙にしたりするから起きることなのだ。
さらにまた、1人でたくさん投票をすると当然時間がかかる。そのため投票所には長い行列ができてしまう。前回の2004年の選挙のとき、朝投票をしてから会社に出勤してきた人がいて、彼が「今日は投票にいって1時間半も並んだよ」と言っていたので驚いてしまった。その日の夜、家でテレビをつけると、ニュースで「まだ投票所に並ぶ人」というのをリアルタイムで映していた。仕事の後で投票している人たちなのだが、夜8時の締め切りには到底間に合わない列の長さであった。締め切った後のことは映していなかったが、8時になったと同時に、「カリフォルニア州はJohn Kerry」と結果を出したので、おそらくまともな開票をしていないのだろうと思った。大統領選挙の場合、Winner Takes Allと言って、50%以上取った方がすべての選挙人を取るという制度なので、「どちらが勝つか」だけが焦点で、細かい得票数はあまり気にしないらしい。
同僚から、「不在者投票とか海外在住者の投票なんて、差が歴然としているときにはカウントされないよ」と教えてもらったことがある。自ら登録して、1時間以上並んで投票する有権者がいるのに、その投票をちゃんとカウントしないというのは何なのだろう?これもアメリカ流の民主主義なのか。
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