MLBが始まって忙しい季節になってきたが、今日は全然違う話です。
H1B visa window opens
H-1B over the years
San Jose Mercury Newsの記事より。アメリカの就労ビザのH-1Bの申請が始まったが、開始と同時に制限数を越える応募があり、結局ビザの発行が抽選になるという異常事態になってしまった。
就労ビザにはいろいろな種類があるが、「アメリカ企業がアメリカ国内で外国の人を雇う」際に発行されるのがH1-Bというビザである。毎年4月から移民局が申請を受け付けて、審査が通れば2年なり3年アメリカ国内で働くことができる。このビザの数には制限があり、2007年は65000人にビザが支給される予定だ。もちろんこれは働く人にのみ与えられるもので、その家族にはH2とかH4など別のビザが出る。
このウェブサイトには応募数が載っていないが、新聞には約3倍の180000件の応募があったと書いてあった。つまり、これにもれた11万人以上の人は、ビザがもらえないということになる。どうしてこういうことになってしまったのか?
実はこの65000人という数は多いようでそうではない。10年前の1997年と98年には同じ65000であった。それが99年に5万人増えて115,000人、2001年にはさらに8万増えて195,000人にH1ビザが支給された。これがアメリカの、いやシリコンバレーの「ITバブル」を作ったことは間違いない。ところが、これは「一時的措置」として3年後の2004年には元の65000人に戻ってしまった。しかし、アメリカに来たい人々と、その外国人を雇って技術力を維持している会社にとっては、この急激な変化についていくのは大変なことなのである。何しろ一旦3倍にしたものを元に戻すのだから、2003年から2004年にかけて「雇える外人の数」が3分の1になったことになる。
去年は受付を開始してから2ヶ月で65000がいっぱいになったという。そこで落ちた人が、今年も申し込んでいるわけなので、去年落ちた人はすべて申し込み初日に申し込みをするに決まっている。今年から新たに申し込みをする人もいるので、上限に達するまでの時間が短くなるのは当然だ。今年抽選にもれた人はほとんどがまた来年に申し込むので、これは悪循環になることは見えている。
これもある意味「バブルのツケ」なのであろうか?ただし、企業からすると人を減らしたいわけではなく、同じ分だけ人を雇いたがっている(だから申請がある)。結局のところ「極端に増やして、極端に減らした」ことが原因であろう。シリコンバレーは世界中からの移民で成り立っている。多くの人が入ることで活力が生まれているところでもある。MicrosoftのBill Gatesが「移民を制限するとアメリカ企業の競争力が弱まる」としてロビー活動をしている。彼はシリコンバレーの人ではないが、頑張ってほしいものだ。
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