遅まきながらWBCウォッチャーになった。今回はラウンド2から、つまり日本チームがアメリカに来てからテレビで見るようになった。そしてWBCの公式サイトから、オフィシャルプログラムを購入してみた。販売元はこちら。
決勝が終わってから家に着いた。10ドルするのだが、来てみたら意外に薄かった。96ページ。
これを購入したのは、日本とアメリカ以外の選手がどんなところから来ているか知りたかった。今回はラウンド2から見ているので、日本以外では日本の相手となった韓国、キューバ、アメリカしかまともに見ていなかったので。
ところがところが、各チームのメンバー表はあったのだが、名前とポジションしか書いてない。あとは監督と中心選手の紹介だけ。ちょっとがっかり。日本で作ったらもっとちゃんとしたプログラムができるだろう。
しかし、データ好きな人向けに、参加16カ国ごとに、野球リーグの有無、MLBに最初に入った選手、トップ選手、今回の代表に在籍している選手でMLBにいる選手が書いてある。こいつを国ごとに並べてみると、
まずプールA。
中国はプロリーグとしてChinese Baseball League(中華野球リーグ?)というのがある。MLB選手は今のところいない。今回中国代表にいたRay Changという選手はアメリカ生まれの中国人で、Piratesのファームにいるとのこと。中国のプロリーグは知らなかったが、2008年のオリンピックが決まった2001年に始まったそうだ。MLBがかなりバックアップしたらしい。
台湾はプロリーグがChinese Professional Baseball League。日本語では台湾リーグというのかな?2002年にChin-Feng Chenという選手が初のMLB入りを果たした。台湾で有名なMLB選手はYankeesのChien-Ming Wang(王健民)。今回の代表のスターはHong-chih Kuo(現ドジャーズ)
次は日本。NPB(日本プロ野球)があって、最初のメジャーリーガーはMasanori Murakami。トップ選手はもちろんイチロー。
韓国はKorea Baseball Organizationが韓国プロ野球の組織名。最初のメジャーリーガーはChao Ho Parkで、現在もこの人がトップ。15年目で117勝をあげている。他にもShin-Soo ChooがIndiansにいる。
プールB
オーストラリアはプロリーグはない。最初のメジャーリーガーはJoe Quinnという人だが、なんと1884年の話。Milwaukee Brewersで8年間活躍して.284の打率を残したDavid Nilssonが有名。
キューバは社会主義国なのでプロリーグはない。しかし野球のレベルは高い。初のメジャーリーガーはEsteban Bellanという人だが、革命よりもずっと前の1871年の話。
メキシコにはメキシカンリーグ(Mexican League)がある。ここからMLBに入った選手はたくさんいて、代表のJoakin SoriaはRoyalsで42セーブを上げた人。
南アフリカもプールB。プロリーグはなし。今回の代表にはAlessio Angelucciという投手がいたそうだが、彼はPadres傘下のマイナーリーガーなので、全体のレベルはまだまだなのだろう。
プールC
カナダはToronto Blue Jaysだけしかないが、一応MLBが国の頂点リーグになるようだ。1875年にTom Smithっていう人が初のメジャーリーガーとなっているが、これはMLBの黎明期なので、ほぼアメリカと一緒に野球が育ってきたということなのだろう。
イタリアはヨーロッパだが、国が少ないのでプールCに入れられてしまった。しかし驚くことに、Italian Baseball Leagueというリーグがあるそうだ。Yankeesの伝説の選手のJoe DiMaggioがイタリア人で有名だそうだが、1932年にLou Polliという選手が初のメジャー入りをしたそうだ。最もこの辺の人はイタリア移民としてアメリカに来てから野球を始めたのかも知れないが。しかしイタリアに野球が伝わったのは、何と1880年代と古いのだそうだ。
プールCの3カ国目はアメリカだが、これは省略。初のメジャーリーガーは1871年のDeacon Whiteというバッターと、Bobby Mathewsというピッチャーだったそうだ。2人かよ?
ベネズエラは野球が盛んな国。Venezuelan Professional Baseball Leagueというリーグがある。確か広島カープが育成所を作ったりしていたな。初のメジャーリーガーは1939年のAlejandro Carrasquelと言う人。有名なのは399本ホームランを打ったAndres Gararraga。今回の代表にはFranciso RodriguesというMLBで62セーブを上げた投手がいた。
最後はプールD。
ドミニカにはDominican Winter Baseball Leagueがある。これはMLBなどがシーズンオフになった時に開かれるもの。1956年のOzzie Virzilが初のメジャーリーガー、現在の有名な選手はAlbert Pujols。え?Pujolsが出ていたの?と思って、WBCの公式ページで確認したら出ていなかった。最初にエントリーしただけで、結局出なかったのか?
オランダ。このヨーロッパの国にも、何とプロリーグがある。Honkbal Hoofdklasseという名前だが、英訳するとMajor Leagueになるらしい。実はアメリカで野球を始めたのは、オランダからの移民だったという説があるそうで、まんざら縁がない国ではないそうだ。しかし正式には1905年にアメリカから野球が伝わったという。最初のメジャー選手はRynie Woltersという1871年の選手。有名なのはBert Blylevenという287勝を上げたピッチャー。今回はJair JurrjensというBravesで13勝あげた投手がいたらしい。
パナマはMLBで活躍する選手は多いけど、プロリーグはなし。でも最初のMLB選手は1955年と歴史は浅く、Huberto Robinsonという選手。3053安打で殿堂入りしたRod Carewがパナマ出身の選手。今回はMariano Riveraという投手が、Yankeesで去年39セーブを上げている。
プエルトリコも小さな国で、ドミニカ同様ウインターリーグがある。Hiram Bithornという1942年の選手が初のメジャーリーガー。トップはRoberto Clementeで.317の打率を残した人。現役ではCarlos Beltran。それよりも、テレビでプエルトリコの試合を見ていたら、キャッチャーのIvan Rodriguezがいた。この人は現役のキャッチャーとしては実績ナンバー1だろう。ずっとDetroit Tigersにいたが、去年はYankeesに移籍していた。今回のWBCの間はMLBでの所属がなかったそうだが、終わった後でAstros入りが決まったらしい。
というわけで、中国、オランダ、イタリアに野球リーグがあるということが驚きだった。WBCのルールが恣意的なせいか、「日本と韓国ばかり当たる」と評判が悪い。いつかオランダと対戦する日は来るのか?
あと、日本は2回優勝したのだから、野球先進国であることは間違いない。中南米の選手がアメリカのMLBでプレイするように、アジアの選手を日本のプロ野球や独立リーグで育てるくらいのことをやってもらいたいものだ。ちなみに今回中国代表に西武ライオンズの選手が1人、台湾代表に阪神タイガースから1人、韓国にヤクルトスワローズから1人いた。
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