WBCが終わったが、アメリカではどう報じられていたのか?決勝戦の日本対韓国は23日(月曜日)の夜遅く行われた。次の日(火曜日)の新聞(San Jose Mercury News)のスポーツ面を見ると、
Ichiro lifts Japan to title (イチローが日本をタイトルに導いた)
という「小さな」見出しが。
「小さな見出し」というのは、Baseball Notebookという野球に関する「その他記事」の扱いだから。しかもここには
Schilling retires; A-Rod Making Progress; Ichiro lifts Janap to title
という3つの見出しがまとまっていて、Curt Shcillingが引退したこと、Alex Rodriguesが右臀部の手術からリハビリをしていること、に続いて3つ目の扱いなのである。
で、記事を訳してみると、
「Seattle MarinersのスターのIchiro Suzukiが、10回表に2アウトで2点を上げるヒットを打ち、オリンピックチャンピオンの韓国を5−3で倒し、53846人を集めたLos AngelesのDodgerスタジアムでWBCのタイトルを取った。韓国は9回裏2アウトから日本のクローザーのYu Darvishからヒットを打って、同点に追いついた。DarvishはKim HyunsooとKim Tae-kyunを歩かせていた。」
これで全て。写真はおろかスコアブックも出てない!
この前日、日曜日に日本対アメリカの準決勝が行われて、日本が勝った。つまり地元アメリカが負けたのだが、月曜日の記事も同じ様な扱い。「日本がアメリカに勝って決勝に進出した」という見出しで、記事はちょっと多い程度。もちろん写真もスコアブックもなし。
まあ、このような新聞の扱いがWBCがアメリカで定着していないことを示している。決勝戦のテレビ中継ではESPNの解説席にBud Serigコミッショナーがちょっと出てきて、「今後もWBCを長く続けて行きたい」と語っていたが、さっそく開催時期のことで突っ込まれていた。「3月しかできない」と言うのがコミッショナーの答えだった。
そして水曜日の新聞のスポーツ欄には、「It's WBC Madness」の見出しとともに日本と韓国でWBC中継を見て盛り上がっていたという記事が出た。これで今回のWBC関連のニュースは終わりだろう。
Madnessというのは前にも書いたけど、アメリカで3月に行われる大学バスケットボールのトーナメントがMarch Madness(3月の狂乱)と呼ばれていることに起因する。つまり3月にやっても、アメリカ国民の目はバスケットボールに向いているので、WBCをやっても注目が集まらないという論拠になっている。
日本と韓国の狂乱でMLBも儲かったはず。そう簡単にWBCを辞めることはないだろう。しかし、アメリカでどう定着させるかが問題だ。
日本でのWBC熱はすざましいものがありました。優勝セールなんて
ものも大手デパートでは開催されてますし・・・・。
アメリカでWBCを定着させるためにはこの先20年くらい(4年に一度
として5回)はアジアのチームが優勝する事が条件ですかね。
いくら関心がないからと言って20年WBCで優勝できなきゃ本腰入れて
くれるんじゃないですかね・・・。
その前にWBCなんてやらない・・・なんて逃げる可能性はありますが。
優勝チームの国で開催するなんていう話もチラッと出ているようですが
そんなことしたらおそらくWBCはなくなるでしょう。アメリカが本腰入れる
までアメリカで開催してそのアメリカでアジアのチームが優勝する。
本気を出してないアメリカチームに負けるとなればそこでWBCの歴史は
幕を閉じるでしょう。・・・きっと。
ちなみにアメリカにはWBCはおいしいはず。各国の選ばれし選手達を
アメリカで査定できるんですから。MLBのスカウトマンたちは願ったり
かなったりでしょうね。
投稿情報: ドラゴン | 2009-03-26 07:50
>ちなみにアメリカにはWBCはおいしいはず。
世界中からMLBに選手を獲得して、放映権をその国に売るというMLBの戦略があるはずなので、そう簡単には辞めないはず。
やってみたら良い試合ができるし、何より試合や応援にお国柄が出ていて面白い。なんとか続けてもらいたいものです。アメリカで人気が出るように努力してもらいたい。
アメリカも決勝に進出していたら、ちょっとは盛り上がったと思います。決勝で日米対決が見たかったなあ。
今大会で、WBCを一番語ったのはキューバのカストロ議長でしたね。
オバマ大統領は「バスケットボールトーナメントでどの大学が勝つ」という予想をしているシーンがテレビに出ていたけど、WBCのこと知ってるのかな?
投稿情報: jabroni | 2009-03-26 15:18
WBCって、世界何カ国で放送されたのでしょうか!? 野球というスポーツは、残念ながら地球的に見れば、まだまだマイナーなスポーツだと思います。アメリカではサッカーの人気は全然ですが、ヨーロッパではどうでしょうか!? ヨーロッパでは「野球」というスポーツはマイナー“以下“の見られ方しかされてないように思えます。大体ヨーロッパ人って、「野球」というスポーツは理解出来ているのでしょうか!?
それを考えると、MLBは「野球の国際化」を十分に果たせていない状態で無理やりWBCを開催しているという感じがします。 NFLはここ数年イギリスで公式戦を開催していますし、NBAもヨーロッパ各国でプレシーズンマッチを開催しています。それに比べて、MLBはヨーロッパでプロモーション活動みたいな事をやっているのでしょうかね!? ヨーロッパは余りにも「野球」には無知すぎるので、やっぱりMLBはヨーロッパ進出は困難と言わざるを得ないでしょう。MLBはWBCを開催する前にヨーロッパを始めとして、全世界に野球の素晴らしさを強調するなどの社会貢献を展開して、「野球」というスポーツを徐々に知名度を向上させてからWBCを開催した方が良かったのではないかと思います。今のままでは、アメリカは勿論、世界的にも盛り上がらない
投稿情報: マリーン | 2009-03-27 06:25
> WBCって、世界何カ国で放送されたのでしょうか!?
今回オランダがドミニカに勝って2次リーグに進んだのがニュースになりましたが、そのオランダでは放映されていたそうですが。
基本的に、ヨーロッパ人が「新大陸アメリカ」で生まれた野球というスポーツに興味を持つのは難しいと思います。でも可能性はゼロではなくて、オランダやイタリアではやっているようです。昔元阪神の吉田監督が、フランスに行って野球指導をしたこともあります。
マリーンさんが仰るような「底辺を広げる運動」は確かに大切ですが、WBCはまったく違う思想で運営されています。それはMLBというアメリカのリーグに、世界中から選手を集めて、彼らが注目されることによって、そのプレイヤーたちの母国で野球が注目されていくというものです。WBCは、FIFAという国際組織が主催するサッカーワールドカップとは根本的に違うのです。
今は中国やインドから選手をアメリカに連れてきて、育成するということもやっているようです。やり方はともあれ、MLB方式でも、結果的に野球が世界の国に広まっていけば成功したと言えるのでしょう。
私が問題にしているのは、「肝心のアメリカでWBCが盛り上がらないこと」なのですが、おそらくまだ2回しかやっていないので、定着していないということがあるのでしょう。
他の理由はいくつか考えられますが、まず野球が短期の大会に向いていないこと。毎年162試合のペナントレースを見ているので、「1ヶ月あまりの大会で世界一が決められるのか?」っていうことです。今回日本と韓国が5回戦って、「飽きた」と言われていましたが、本来ならこれくらい戦って「日本が韓国に勝った」と言えるのでしょう。ただ、これだと16カ国もあると3ヶ月くらいかかりそうですが。
あと、アメリカでは野球好きの人でも基本的には地元のチームの選手しか知らないということがあります。日本なら、誰もがイチローやダルビッシュを知っていますが、アメリカだとJeterとかWrightといった選手でも、知らない人がいるんじゃないかな?たぶん、「遠くのチームのアメリカ人選手」よりも、「地元チームのドミニカ人選手」の方が親しみがあるのじゃないでしょうかね?
投稿情報: jabroni | 2009-03-27 11:08