メンバー登録が必要になる(無料)が、San Jose Mercuryの記事 に「Kleiner PerkinsがColin Powellを雇う」という記事があった。
両者ともに有名なのだが、コリン・パウエルとはアメリカの前国務長官である。彼の前歴は軍人である。まだブッシュの親父が大統領の頃、アメリカ軍の参謀本部のトップで湾岸戦争を指揮し、記者会見で戦いを説明して有名になった。息子のブッシュが大統領になった時、黒人で初めて国務長官になった。軍人出身であったが、国務長官になってからは対話路線を主張し、ラムズフェルドや現国務長官のコンドリーザ・ライスとの折り合いが悪くなって、ブッシュが2期目を始めるときに辞めた。それから半年間は休養していたということだろうか。
対するKleiner Perkinsはシリコンバレーでは超名門のベンチャーキャピタル(VC)で、Sequoia Capitalと双璧をなす会社である。この記事にもあるように、Sun Microsystemsを創設したので有名なVCで、以降Google、Netscape、Amazon.comなどの有名な会社の立ち上げに関与している。そんなVCの大御所であるが、「元国務長官」という大物を雇うのはやはり異例なことであるようだ。莫大な金を動かしているとはいえ、VCが相手にしているのは、学生がやっているような新しいビジネスに目をつけ、これと見るや莫大な金を投じて、莫大なリターンを得るという博打のような商売をしているのである。パウエルのようなエリート、エスタブリッシュメントとはまったく異なる世界なのである。
Mercury Newsの記事によれば、KleinerがPowellに期待しているのはMentorship。つまり若い経営者に経験を語ることでアドバイスをするという役割だ。彼はシリコンバレーには移住せず、バージニア州の自分の事務所で働くという。元国務長官がTele Commute(遠隔通勤)をするということか。
彼は政治家ではなかったが、軍隊で頂点まで上り、その後国務長官にまでなった。国務長官といえば首相と外相を兼務する役割である。そんな国家公務員のトップからいわば民間企業のKleinerに転じたのであるから、これはある意味「天下り」だ。しかし日本の天下りとは比べようがない。そもそも国務長官に匹敵する役職が日本にない。日本で首相・外相というと政治家であるのがふつうだ。またVCはいくつかあるが、Kleinerのような大きなところはないだろう。「日本で言ったらさしずめ○○さんが△△に天下りするようなもの」と言いたいところだが、両方ともそれに匹敵するものがないのである。
ちなみに、この記事はオンライン版だが、印刷版には「今までKleinerが顧問に雇った人」というのが出ていて、その中にWilliam Joyの名前があった。古くからのUNIXユーザならご存じだと思うが、cshとかviエディタを作った天才ハッカーで、SUN Microsystemsの創業メンバーでもある。昨年SUNから離れたが、こういう仕事をしていたのか。
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