Grand Tetonを出た我々はそのまま89号線を南下する。するとすぐにJackson Cityという場所に着く。ここが我々ツアーの4日目の宿(Painted Buffalo Inn)があるところだ。ここでは昼食と町の観光は自由時間となり、夕方「ウェスタンショー」を見るために再集合となった。
という劇団というか会社なのだが、配られたブローシャーを見ると、Jim and Donna Thomasという夫婦が経営者である。というよりも、ここはこの夫婦を中心としたファミリーが経営している。まず集合場所で、妻のDonnaが客に挨拶をする。何でも19世紀にNick Wilsonという人がこの地に農場を開いたのが始まりだとか。そのNickおじさんは幼少の時にShoshoneインディアンの養子になり、子供時代をインディアンとして過ごした。Bar-T-5というショーができたのは31年前で、Jackson Hallにある劇団の中では最も古い。自分には子供が3人いて、長女は結婚して子供が2人、長男にも2人の子供、次女はもうすぐ結婚する。長女は3人目を妊娠中。最近できた動物保護の法律が施行されると、動物を使うショーは続けられなくなるだろう。てなことを社長のDonnaがとうとうと述べた後、ようやくスタートとなる。
といっても、まずは左のような幌馬車に乗って、会場に移動する。Bar-T-5の会社は町外れにあるのだが、そこからさらに舗装されていないあぜ道を15分ばかりかけて行かなければならない。客は大入りで、10台の幌馬車が全部使われた。1台あたり20人に乗りなので、200人はいる計算になる。
馬車の横には係員が馬に乗って帯同している。そのうちの一人はJimとDonnaの長男らしい。写真にある親父にそっくりだ。しばらくすると、周りにインディアンの格好をした人(といっても白人なのだが)が馬に乗って、幌馬車を「襲って」くる。我々の馬車にはインディアンではなく、Trapper(Grand Tetonの項参照)の格好をした人がやってきて、なにやらわめいていた。
会場に着くとまずテーブルに着席させられ、Jimが出てくる。I am the owner's husband. つまり、「オーナーの夫です」と挨拶。Nick Wilsonの子孫はこのJimなのだが、妻Donnaの方が実質的に家族も会社も仕切っているということらしい。ここでまず、食事となる。会場の奥にカウボーイの料理場みたいなのがあって、客はその料理をもらいに並びに行く。写真がその料理。煮た豆に、チキン、ビーフ、サラダ、それにパンが一切れ。こういうところであまり美味いものは期待できない。
さて、食事が終わるとショーが始まる。Jimが何か喋り始めると、さっきのTrapperの格好をした男が馬に乗ってやってきてピストルを鳴らす(もちろん空砲)。そして「俺は嫁を探しにきた」とか言って、客の女性を探し始める。こいつは歳取りすぎてるだの、小さいだの好き勝手に客をいじって、最後に一人前に連れて行く。「馬に乗るためにはO脚じゃないといけねえんだ」てなことを言って、足を調べたりとしょうもないことをやって、この男は去っていった。
その後は左のような4人の楽団によるコンサート。もう周りが暗くて写りが悪いのだが、4人のうち、一番右がJimのいとこだそうで、この人が作った曲をみんなで歌っている。左から2番目の若い男が山向こうのIdahoから来たというので、「こいつはIdahoの田舎から来た」「馬に乗れない」などと馬鹿にするシーンがあった。これらはもちろんすべて英語でやってるのだが、事前にJTBのガイドさんがネタの説明をしてくれていた。このIdahoの青年を馬鹿にするシーンは、「New Yorkの人がNew Jerseyの人を馬鹿にしたり、東京の人が埼玉県民をからかうようなもの」ということであったが、全米一人口が少ないWyomingの人がIdahoの人を田舎もの扱いするという構図がよく分からなかった。
ショーの最後になると、「オーナー」のDonnaさんが再度登場して、挨拶、そして歌を歌って、ショーはおしまい。その後全員をまた幌馬車で送り出すのだが、その間にDonnaさんは車で店の方にもどって、売店で接客をするという大車輪の活躍ぶりだった。
ショーとしては「B級」と言わざるを得ないのだけど、家族でやっている手作り感覚があって、ほのぼのとした感じがする。
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