Jacksonで最後の夜を過ごした翌日、このツアー最後のイベントは化石掘りだ。
場所はUlrich's Fossil Quarries(またはGallery) というところ。何度か書いたとおり、Wyomingは全米一人口が少ないのに、やたらと広い。そのためにYellowstoneやGrand Tetonのような国立公園が残されているのだが、それ以外はひたすら草原に道が通っているだけのところだ。
Jacksonから89号線、30号線を南下していくとWyoming州の南西の角あたりにKemmererという町がある。このちょっと西にFossil Butte National Monumentという化石の国定公園がある。しかし今回訪問するのはその公園ではなく、目の前にあるUlrich's Fossil Quarriesである。子供の時から化石が好きだったCarl Ulrichさんが作った化石の採取場および研究所といったところか。最初の写真がその外観。上の階はUlrichさんの家になっている。1階の工房(石を削って化石を抽出したりする)に入ると、2番目の写真のような魚やヤシの葉の化石が置かれている。
見学が終わったら化石掘りに出発だ。4輪駆動車に分乗して、採取場に向かう。国定公園とは30号線をはさんで反対側の斜面に行く。写真のように青空の下、何もない山を登っていく。舗装されていないため、土煙がすごい。採取場は工事現場の什器がいくつか並んでいたが、その横に車を止めた。この什器は粘土の岩をカットするためにあるようだ。
左の写真の向こう側が化石の入った岩。おそらく什器で表面を削ったのであろう。ここは薄い岩が何重にも堆積した地層である。向こう側の壁に横の縞が見えるであろう。縦に入ったヒビは採取用に入れたものと思われる。この土地で魚の化石が出るのは、何千万年前この土地が海だったことを意味する。その後海が隆起して陸となり、さらに断層によって、この何千万年も前の地層が地上に現れたのである。係員の人からBradeという長い鉄の板を借りて、この地層のやわらかそうな部分に差し込む。Bradeを何本も刺して、「セーの」の掛け声とともにそのBradeをひねると、地層をはがすことができるそうしてはがしたのがこの写真だ。これは3,4センチくらいのものだが、ここにまた10層くらいに分かれる。Bradeを使ってこれを注意深くはがしていくと、中から魚の化石が現れる。たいていは3,4センチの小さな魚だが、中には20センチ以上もする大きなものが出ることもある。小さい魚は薄っぺらなのだが、大きな魚は骨の部分がしっかりとしていて立体的である。ただし、この岩盤は粘土質で非常にもろい。すぐに割れてしまい、大きな魚を無傷で取り出すのはなかなか難しい。この写真で左の方に青いスプレーで印がつけてあるが、ここにはヤシの葉の大物があるとのことで、我々には触らせてもらえなかった。しかしヤシのすぐ横で魚の化石が出てくるのも不思議だった。
最後は切り出した化石を左の写真のようにのこぎりで適当な大きさに切ってくれて、それをお土産として持たせてくれる。掘り出している最中は「大物を見つけてやるぞ」と夢中になるのだが、こうして切ってもらったものを箱に詰めているころから意識が醒めてくる。「こんなもの持ち帰ってどうしよう?」と。
とりあえずその場で捨てるには忍びないので持って帰ってはきたが、5000万年前のものとは行っても、魚の形ついた石なのだ。それも固くておいておければよいが、もろくて埃っぽいのでどうしたものか困っている。
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埃で泥だらけになったところで、ツアーのイベントはすべて終了。この後は高速のUS-80号線まで出てそこからSalt Lake Cityに行き、ホテルで解散となった。Salt Lake Cityはご存知のようにモルモン教の総本山があるところ。市民が皆信心深いため、ついた日曜日はどの店も閉まっていて、レストランを探すのにも苦労した。特記することもないので、この旅行記もここで終わりとしよう。 (終)
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