鹿児島大学のベンチャービジネスラボラトリーシリコンバレーオフィスというのがこの度オープンして、それに関するイベントがいくつか行われた。
まず24日月曜日にオープニングセレモニーというのがあって、ここでは京セラ名誉会長の稲盛和夫氏の講演があった。興味があったのだが、いろいろとドタバタしていて行けなかった。これにあわせて、鹿児島大学の学生(主に大学院生)10人が参加するツアーが行われた。Yahoo!とB-Bridge(これは日本人が創業したバイオベンチャー)、それにHewlett-Packardを見学して回るというツアーであった。
それにしても日本の国立大学(今はもう国立大ではないのかな)が、シリコンバレーに出張所を作り、そこに学生を連れてくるとは時代が変わったものだ。
このツアーの中で「キャリア座談会」という企画があって、それに呼ばれた。基本的にはJTPAの会合によく顔を出している人が4人出て、どうしてアメリカで働くようになったか、海外で働くことはどういう意味があるのかを語り合うという内容であった。裏話になってしまうが、このパネルをするに当たっては、ほとんど何の準備もしなかった。顔見知りなのでぶっつけ本番にした方が面白いという配慮があったみたいだ。
自分が学生の頃には海外どころか、あまりこのような社会人の生の声を聞くという機会はなかった。そもそも「キャリア」というものを意識することは(学生だけではなく社会人にも)あまりなかったのではなかったか?そういう意味では今の学生さんはいろいろな機会があって幸せだと思う。
しかし、もうちょっと準備をしておくべきであった。もともと口の立つほうではないので、他のパネラーに喋られるシーンが多かったのだが、それ以前にパネラー同士で雑談しているような雰囲気になってしまい、テーマがぼやけてしまった。お互い顔見知りであったことがかえって災いしてしまった。それにも増して、「アメリカでこんな苦労した」「アメリカの会社はレイオフがあって大変」という話題が多かったのが気になる。まあ、これは日本人の習性というもので、楽しい思い出より苦労話の方が受けるというのがあるのかも知れない。しかし、若い学生相手なのだから、もうちょっと夢と希望のある話をするべきだった。後者のリストラ・レイオフについては、今や日本だってはよくある話ではないか。むしろレイオフされたら行き場がない日本より、他に中途入社のチャンスが多いアメリカの方がやさしい環境ではなのである。あれを聞いて「やっぱりアメリカは厳しいところなんだな」という一面的な印象を持たれたら困るのだが。
まあ、パネルというより雑談会みたいになってしまったが、楽しんでいただけたのだろうか。これに出たということで、感謝状と楯までいただいてしまいました。
次の日はHP訪問。これは鹿児島大学の先生がHPにコネがあったので実現したものだそうだ。まず本社でいろいろ説明があって(ここには顔を出していない)、その後研究所の方に来られた。あまり時間がなかったので、研究の見学はなく、構内にある昔の製品を並べた博物館と、今も残るBill HewlettとDave Packardの執務室の見学をした。実は9月末からいろいろなお客さんをここに案内する機会が続いており、この執務室にはすっかり詳しくなった。
このHP訪問がこのツアーの最後のイベントで、この後学生の皆さんは食事をして空港に向かった。自由時間があるとのことだったので、San Francisco観光をした人もいたかも知れない。いずれにしても、学生さんにとっては貴重な体験(少なくとも我々のころにはできなかったことだしなぁ)であったことだろう。これを今後のキャリアに生かしていってもらいたいものだ。
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