会社の仕事の関係で、小さな学会に出ている。そのためにMIT (Massachusetts Institute of Technology)まで出張して来ている。この会合の話は専門的になるので書かない。問題は初日のランチである。
この会合はMITの中のStratton Student Centerという建物で開かれた。2日ある会議の初日の昼食は自由行動だったのだが、MITに留学したことのある同僚は「昔の友達に会う」とか言ってそそくさとどこかに行ってしまった。地理感がなく、車もないので必然的に同じビルの2階にあるFood Courtで食事を取るしかない。
Food Courtと言っても、所詮は学生向けの学食でしかない。テイクアウトできるステーションが3つばかりあって、あとはたくさん並んでいるテーブルで食べて、食事の入っていた箱は自分で捨てるというスタイルである。この3つのステーションのうちの1つが下の写真にある、SHINKANSEN JAPANという日本料理である。
写真でも分かるが、Bullet Train Fast Foodとある。Bullet Trainはもちろん新幹線のことである。新幹線はある意味日本を象徴しているものなのかも知れないが、Shinkansen Japanという名前を食べ物屋につけるセンスがすでに無茶である。ここでは寿司弁当と、TERIYAKI弁当を売っている。寿司はどこかのケータリングをそのまま売っている。寿司は暖かいものではないので特に問題はないのだが。で、問題はTERIYAKIの方で、写真のガラス窓の向こうが厨房になっていて、そこで何かを作って、その左のところで受け取るというシステムになっている。怖いもの見たさというより、何が出てくるか分かっているが、そこをあえてTeriyaki Chikenを頼んでみる。
で、出てきたのはこのようなものである。容器は発泡スチロールの弁当箱。一応中が3つに分かれているのだが、そんなことはお構いなく全体にご飯が敷き詰められる。その上に「Teriyaki Chiken」なるものが乗っかっている。このTeriyakiというのは醤油とみりんを塗って照りが出るように焼いたものではない。鍋で炒めたものに「TERIYAKIソース」という甘い液体をかけたものである。確かに醤油は入っているのだが、甘すぎて日本人が考える「照り焼き」とはまったく異なるものである。一緒に食事していたインドからの留学生が、「これは日本の味ですか?」と聞くので、「いや、これはAmerican Japaneseだよ。」と答えるしかない。
ともあれアメリカではカリフォルニアでもここBostonでも、Teriyakiとは「Teriyakiソースをかけた料理」を意味する。ChikenとBeefがよくあるのだが、時々サーモン(鮭)のTeriyakiというものもある。恐ろしくてまだ食べたことはないが。私など、もうこれはアメリカの味であって、日本の照り焼きとはまったく異なる料理のジャンルであることは了解しているが、もし知らずに「懐かしい日本の味」と思って頼むとビックリするであろう。ただ、これのオリジナルは日本のマクドナルドで出した「照り焼きバーガー」なのではないかと思う。つまり日本が発祥の地なのではないか?
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