A'sが相変わらず調子に乗り切れないとか、49ersが戦力補強をしているとか、San Franciscoのさくら祭に行った話とか、書きたい話題はあるのだが、もうちょっと「マネーボール」の話を引っ張る。
Billy Beaneの革新的な球団経営手法が、最初は旧来の勢力に認められなかったものの、次第に成果が上がるとともに注目を集め、MLBに広まりつつあるという話。
「マネーボール」の6章「不公平に打ち克つ科学」というところに、MLBでの諮問委員会の話がある。Bud Selilgコミッショナーが1999年に、「球団の財政に関する諮問委員会」を開く。ちなみにSeligは現在もコミッショナーである。その前はMilwaukee Brewersのオーナーであった。Brewersは貧乏球団で、Yankeesから見ればその何分の1しか年俸予算がない。それでは勝ち様がない。球団間の格差を是正しなければ、強いチームと弱いチームの格差が広がってファン離れを起こしてしまう。それを避けるためにはサラリーキャップ制を導入してチーム間の予算の差を縮める必要がある。ところが、現実にA'sが低い予算で選手を採り、Yankeesと互角の勝ち数を収めている。そこでBeaneを委員会に呼び出して証言をさせる。
ここでBeaneは「ウチは財政的に苦しい。今成績がいいのはマグレで、そのうち成績も客入りも落ちていくだろう」と心にもない証言をする。Beaneにとっては、自分の秘訣を明かすより、金満球団が昔ながらの評価で選手をかき集めてくれた方が、自分の欲しい選手が安く手に入ることになるので都合がよいのだ。
この章はこの本の中でも特に面白いところだ。しかし、その後彼の手法を認める球団が出始める。2003年にBoston RedsoxがBeaneの引き抜きにかかる(しかし、これはBeane自身が断る)。しかし彼の元で働いていたスタッフのJ. P. RichardiはToronto Blue JaysにGMとして引き抜かれる。さらにBeaneの右腕だったPaul Depodestaは2004年からLos Angels DodgersのGMになる。こうしてBeaneが始めた統計処理による球団経営は広がり始めた。Yankeesのように財力にモノを言わせて選手を集める球団がある一方で、少ない予算で勝てるチームを作ろうとするチームがあるのも面白い。
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