自分の会社のことなので頭が痛いことなのだが、HPの取締役会のスキャンダルはついに関係者が議会の公聴会に呼ばれる事態になった。
Incredulous lawmakers grill HP managers
ここで元会長のPatricia Dunn、CEOのMark Hurd、顧問弁護士のLarry Sonsini、さらに問題のPretextingを行った調査会社Security Outsourcing SolutionのRonald ReLia社長らが証言をした。
まずこの公聴会の前の社内調査で明らかになっていたことは、CEOのMark Hurdが情報漏えいの調査に関わっていたということ。これまではDunn元会長が主導していたというものであったが、Hurdもそのような調査を行っていたことを、Dunn会長から知らされていたということだ。実は情報漏えいの調査は2回あった。1回目は2005年の前半、Carly FiorinaがCEOをやめ、Mark Hurdが後任として入ったころ。この時の調査を指揮したのは当然Patricia Dunn。しかしこの時は誰が漏えいしたか分からなかった。そして2006年のはじめ、取締役会だけで話し合った「経営方針」がインターネットの新聞CNETにもれたために、Dunn会長は再び調査を行った。この際に、Mark HurdはDunnに調査のことを聞かされていたということだ。
今日の公聴会でDunnが証言したのは、この調査を行うに当たってPretextingが違法なのか合法なのかを会社の顧問弁護士に相談したこと。そして弁護士に合法であると言われたとのことであった。弁護士に相談するのは当然である。社内調査を行うときに、その方法が法に触れてはならない。漏えい元の幹部(George Keyworth)が判明して辞任を迫るときに、「どうやって調査したか」は当然明らかになる。
漏えいを認めたKeyworthは辞任したが、この調査方法に抗議して取締役を辞めたThomas Perkinsが、その後も取締役会、HPの顧問弁護士に対してPretextは違法だということを訴えた。これがこのスキャンダルが表ざたになった発端である。
HP's Baskins embattled and admired
この調査に「合法」のお墨付きを出した顧問弁護士のAnn Baskinsは辞任となってしまった。
この事件がこれで終わりになるのかどうかは定かではない。公聴会は議会で「Pretextingを禁止する法律」を制定するかどうかの意見聴取のために行われたもので、今回の事件での罪を追求するためのものではない。
Pretexting自体が今の法律で違法なのか合法なのかは分からない。しかし、このようなスキャンダルを起こしてしまったこと自体に問題がある。特にハイテク産業でセキュリティなども手がけているHPがPretextingという手法を使ったことは、道義的な責任を問われても仕方ない。それ以前に取締役会がお互いに信用できない人の集まりだったことにも驚く。取締役会は会社の役員をチェックするためにあるので、ナアナアであってはならない。ある程度の緊張感は必要なのだろう。そのために半分以上の取締役は社外から採っているのだが、同じメンバーの電話の通話記録を調査するというのは、行き過ぎとしか言いようがない。
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