日本で購入したNintendo DS Liteを壊してしまった。ちょっとしたミスで水没し、液晶が駄目になってしまったのだ。もったいないことをした。任天堂のマシンはリージョンコードがないので、アメリカで買っても日本のソフトが使えるはず。そう思ってFrysとかBest Buyなど近所にある電器店に行ってみたが、売り切れていた。もっと出回ってくるのを待つしかなさそうだ。DSはもちろんだが、新発売のWiiもPlayStation 3も売り切れ。ソフトとオプションばかりが店に並んでいた。
その品薄状態のNintendo Wiiにトラブル発生だ。
Wrist bands prove too weak for some Nintendo gamers
手首に結ぶバンドのストラップがアメリカ人のユーザには弱すぎたようだ。これが切れる事故が続出して、任天堂は製品を回収してバンドを交換することにした。
Wiiリモコンのストラップ問題、米国で集団訴訟に発展か
予想通りというか、任天堂はこの件で集団訴訟を起こされてしまった。
実は、Wiiのコマーシャルを見たとき、「これは斬新なゲームマシンだ。特にアメリカ人には人気が高まるだろう。」と思ったのと同時に、「でも、このデバイスは危ないんじゃないか。事故が起きたら訴えられるぞ」という予感があった。ゲームマシンには、通常コントローラがついている。コントローラーの「十字キー」は任天堂の特許だということは有名だ。しかし近年、ダンスゲームのためにマットのセンサーが出たり、太鼓やギターのコントローラーが出たりと、この分野も新しいものが出てきた。Wiiは加速度センサーを付けたコントローラー自体を振り回すという斬新なものであった。
しかし、これが使われるのはスポーツゲームで、ゲームが盛り上がればユーザは興奮して、かなり激しくコントローラーを振り回すだろう。ドラムやギターのゲームの比ではない。投げ飛ばして怪我でもしたら、当然訴訟沙汰になるだろうと思った。
アメリカはこの手の「集団訴訟」がよく行われる。英語ではClass Action Lawsuitと言う。被害者が1個人だと任天堂のような大きな会社を相手に訴訟を起こせないが、被害者が集まってパワーがつけば、会社に対抗できる。これがClass Action Lawsuitのメカニズムなのだが、実情はかなり違う。上の記事にも出ているGreen Wellingのような、「集団訴訟を専門とする法律事務所」というのがあって、こういう弁護士あるいは法律事務所が、「どこかに集団訴訟のネタはないか」と探しているのである。私が「やばいんじゃないかな?」と思って見ていたWiiのCMも、彼らから見れば絶好のチャンス到来と見るのであろう。今のところ原告は1人ということだが、今ごろ血眼になって被害者を探していることだろう。
Class Action Lawsuitについては思い出がある。アメリカに来て半年ほどした時、ある手紙が来たのだ。送信元の名前は忘れたが、法律事務所であった。ターゲットはSBCという電話会社。SBC Yahoo!というDSLに関して、「SBCが広告しているよりも提供されるデータスピードが低すぎる」ということで訴えようというものであった。趣旨に賛同する人は是非集団訴訟に参加してくれというものであった。当時はまだこの集団訴訟についてよく分からなかったので、この手紙を会社に持っていって同僚に「これは何だい?」と聞いてみた。すると彼は苦笑いを浮かべ、「Welcome to America (アメリカによく来たね)」と言ったのだ。まあ、もちろんこれは最大級の皮肉で、それから集団訴訟について説明してくれた。もちろんこの集団訴訟には参加しなかった。
被害者を無理やり作り出しているようだが、彼らには「弱い消費者を守っている」という言い分があるのだろう。いい悪いはともかく、アメリカにはこういう訴訟があるというのは厳然たる事実。Wiiの斬新さは買うが、任天堂はちょっと脇が甘かったのではないだろうか。
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