読みました、渡辺千賀著「ヒューマン2.0」。先週の土曜日にJTPAのシリコンバレーツアー打ち上げと、渡辺千賀(JTPAの代表)さんの出版記念パーティーに出席した。知人が書いたシリコンバレーの本なので買わなければと思いつつも、パーティーまで買うチャンスがなかった。結局パーティーの現場でようやく購入したのであった。
この本は非常に面白い。シリコンバレーの住民の生態を面白おかしく書いているのだが、彼女の文才によって、非常にユーモラスに書かれている。
ただ、「面白く、よく書かれた本」と思ったが、正直インパクトとか印象深い本ではなかった。とれはおそらく、彼女のブログ(On, off and beyond)をずっと読んでいたためだろう。この本は彼女のブログの集大成のようなものだ(一応書き下ろしなので、ブログをまとめたというものではない)。彼女はシリコンバレーでコンサルタントをやりながら、シリコンバレー人を観察して、それを日記のようにブログに書き記した。
私はその間、シリコンバレーのIT会社で働いていたので、いわばその中にいたわけだ。渡辺さんが実況アナウンサーだとすると、私はフィールド上でプレイしていた、あるいはリングの中でファイトしていたわけだ。いや、正確にはそうではないか。転職を繰り返したり、ベンチャーを起業したわけではないので、彼女のブログに出てくるような「活躍」をしたわけではない。
ただ、転職する人間を間近で見ているし、会社が何度もレイオフをしたのを経験している。そういう環境にいると、「アメリカ流」がふつうのことのように感じるようになる。いわば、考え方がアメリカンになってしまったのだろう。
「ヒューマン2.0」というタイトルはテクノロジーの進歩にあわせて、人間(特に日本人)が変わっていかなければならないという示唆なのだが、シリコンバレーにいる多くの人は、すでにそうなっている。というよりも、ここにいる人たちがWeb2.0 という新しい環境を作っているのであろう。
「1つの会社に平均2,3年しか在籍しない人」「フリーランスで好きなライフスタイルを築く人」「レイオフで首を切る会社」といったシリコンバレーの生態を見て、
(1)びっくりする
のはもっとも単純な反応であろう。
(2) 「アメリカ人は我ままな奴らだ」「アメリカの会社はドライだ」と思う
のは、日本の常識・基準に合わせての感想。これも日本にいて本を読んでいる分にはよかろう。しかし、アメリカに来て働く、例えばアメリカの会社に就職したり、日本企業のアメリカ駐在員になるとしたら、これだけではだめだ。
(3) アメリカ流に合わせて仕事をする
これでも「アメリカはしょうがない」と思いながらやっているのだとすると、幸せではないな。
(4) その底流にある文化を理解する
結局こういう現象には理由があるのだ、アメリカは他民族国家で長年移民を受け入れてきたからだ、と根底にあるものが何かを探ろうとする。そして最後は
(5) 自分もその環境に適応できるようになる
やはり、変化の激しいこの地で生き延びていくためには、適応能力が必要になるのであろう。
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